焼肉店の内装工事に必要なことや知っておきたいこと

焼肉店にとって内装は「その店の焼肉が美味しい」ことと同じほど重要です。お肉が美味しいだけでなく、内装がよかったからまた来ようと思う人は少なくありません。しかし、焼肉店を開業するにあたって、内装をどのように考えればよいのか分らない方もいるのではないでしょうか。実は準備段階からあるべき内装のイメージは少しずつ固まっているといっても過言ではありません。ここでは、焼肉店の内装工事について押さえておきたいポイントについて説明します。

焼肉店の開業準備と内装工事

内装工事

焼肉店を開業するにはどのようなお店にしたいのかコンセプトを定めることが重要です。特に昨今は高級なお肉の食べ放題を売りにし、子ども連れでも気軽に入れて楽しめる雰囲気をアピールするなど、さまざまなタイプの焼肉店が乱立して競争が激しくなっています。その中に新規出店して生き残るには市場リサーチや競合研究などを行ったうえで、強力なコンセプトを作らなければなりません。焼肉店に限らず、店舗コンセプトは「7W2H」(Why・When・Where・Who・Whom・What・Which・How・How much)を視点として考えられます。たとえば「Why(なぜ)」の視点から「なぜ焼肉店を開業しようと思ったのか」と自身の動機を再確認できますし、「お客さまはなぜ来店するのか」と顧客の気持ちになることによって「昼休みを利用してのランチ」、「仕事を終えてから飲み会」、「カップルのデート」、「子どもを連れた家族での食事」など来店動機をイメージすることができます。

「How(どのように)」の視点からお店のホームページやSNSの活用、フリーペーパーへの掲載など集客方法のアイデアが膨らみ、店員の接客サービスなどにもつながります。そのようにしてコンセプトを作るなかで焼肉店の内装に関係したシチュエーションに思い当たるものです。まず「Where(どこで)」では出店する立地条件を絞らねばなりません。「How(どのように)」や「When(いつ)」ではランチ、デート、歓送迎会などの状況に合わせてどのような内装にするべきかイメージが固まってきます。そのように、内装工事の具体的な内容については、コンセプトが明確になってから考えた方がスムーズに進めることができます。

居抜き物件とスケルトン物件のメリット・デメリット

焼肉店を出店するには、肉を焼くためのコンロや煙を排出する換気システムの設備が必要です。そのため物件探しも条件が狭まってきます。またお店のコンセプトによってターゲットとする客層が違うので、それぞれ適している立地条件が変わってきます。出店する予定のエリア(街)が醸し出すカラーはコンセプトの方向性とマッチしているか、事前に調査しましょう。 その街では人がどこを通ってどの場所に向かっているか、どこで休憩や食事をしているかといった人流データを分析することによって、ターゲットとする客層の割合が見えてきます。コンセプトとブレが少なければ一番よいのですが、コンセプトと乖離がある場合は別の街で物件を探すか、あるいはコンセプト自体を街に合わせることになります。

物件には「居抜き物件」と「スケルトン物件」があります。居抜き物件とは以前にテナントで入って営業していた店舗や飲食店が、設備を残したまま賃貸や売却に出すことをいいます。もし、以前に入っていた店が焼肉店だったら、空調や換気設備、厨房、客用のテーブルにイスなどをそのまま使えるかもしれません。一方のスケルトン物件は設備や壁紙もない、骨組みだけでコンクリート打ちっぱなしの建物です。居抜き物件は、換気システムや厨房などの設備を使えるので、スケルトン物件に比べて経費を抑えることができます。内装工事もそれ以外のところを行えばよいので開店までに要する時間も短くなります。ただし、残されていた設備が傷むなどして使用に耐えられない場合もあるので十分にチェックしましょう。

スケルトン物件は内装や設備がないコンクリート打ちっぱなしの状態なので、コンセプトに合ったデザインに内装して自分で選んだ設備を揃えることが可能です。しかし、一から内装工事を行うため、その分だけ経費がかかり開店までの時間も長くなってしまいます。そのように居抜き物件とスケルトン物件それぞれにメリット・デメリットがあります。もし立地条件を含めたコンセプトを重視するならば、居抜き物件の場合は物件数が少ないため、スケルトン物件の方がよい物件が見つかりやすいといえるでしょう。

内装工事を依頼する業者の選び方

内装工事

焼肉店をはじめ飲食店の内装工事は、調理スペースやトイレなどの「水回り工事」が必要になります。最近は一部のデザインを強調するスポットライトやカウンターを際立たせるダウンライト、さらに監視カメラの設置が増えていることから、電気工事も内装工事の一つとして重要視されています。さらに内装仕上げ工事は壁や床、天井といった店全体の雰囲気を決める大切な工事です。内装工事を依頼する際は、実績のある業者を選ぶのはもちろんですが、部分的な工事から全体の仕上げに関わる工事までイメージを確認したうえで契約しましょう。内装工事を行う業者にはデザインを専門とする場合、施工を専門とする場合、デザインと施工の両方を行う場合があります。

デザインを行う「デザイン・設計会社」は設計やデザインを手がけながら施工は別の業者に依頼します。デザインのクオリティが高く、工事は別なのでほかに見積りをとって比較しやすいメリットがあります。施工を専門とする「施工会社」は基本的にデザイン設計を手がけず、職人に施工を依頼するため、費用は低めです。デザインと施工を行う「設計・施工会社」の場合、両方の打ち合わせができるので二度手間にならず、デザインと施工のズレが生じにくいメリットがあります。ただし、デザイン性にこだわるならばデザインを専門としている業者の方が内容に納得できるかもしれません。

焼肉店の機器や備品の選び方

居抜き物件の場合は、基本的にテナントに入っていた店舗が残した内装や設備を利用することになります。スケルトン物件の場合は機器や什器、備品などを新しく揃える必要があります。たとえば熱機器ならば、ガスを使うか電気を使うかで違ってきます。ガスならばガスレンジ、ガスフライヤー、ガス炊飯器などがあります。ガス炊飯器は炊いたご飯を保温ジャーに入れ替えて保温する必要がありますが、電気炊飯器は1台で炊飯と保温が可能です。ガス式は火力が強くて本体価格は比較的安いメリットがある一方、火加減が難しく、火事の恐れがある点はデメリットになります。

電気式は温度調整がしやすく、火災が起きにくいというメリットがあるものの、IH対応の調理器具でなければ使えない、本体価格が比較的高いことがデメリットといえるでしょう。さらに業務用にイスやテーブルなど店舗什器の選び方にもポイントがあります。焼肉店の場合はゆったりと座るソファーよりも腰掛ける程度のイスを使うのが一般的です。背もたれがないものから、背もたれがついて安定感があるイスまでさまざまなタイプが揃っているので、店のスペースやコンセプトに合わせて選びましょう。

まとめ

内装工事

焼肉店の内装工事について必要な知識の一部を紹介しました。ほかにも飲食店を開業するときは、物件を探すにあたって「建築基準法」と「消防法」による「内装制限」は頭に入れておきましょう。火災発生時の安全避難や火災の予防、初期消火、人命救助などについての法律です。内装制限の基準をクリアしていない店舗は罰せられるので注意が必要です。